会長 明智 龍男
名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野 教授
この度、第34回日本サイコオンコロジー学会総会を、令和3年(2021年)9月18日(土)-19日(日)にオンラインで開催させて頂くこととなりました。
日本サイコオンコロジー学会では精神科医、心療内科医、緩和ケア医、がん専門医、看護師、薬剤師、心理師、ソーシャルワーカー、理学療法士など多職種が集い、わが国におけるサイコオンコロジーの臨床、研究、教育の充実を目指して活動を行ってきており、次回総会は第34回を数えるまでになりました。
今回の大会テーマは「こころのケアの本質」と致しました。わが国における質の高いがん医療の均てん化とともに、サイコオンコロジーについても近年、目をみはる進歩を遂げております。臨床研究も活発となり、心理療法、薬物療法をはじめ有効な治療法に関する学術成果も数多く報告され、また臨床実践されるようになっております。そのような発展の一方で、ともすると患者さんのこころを医療人としてケアするとはどういった営みなのか、医療者はどのような心構えで臨むべきなのか、といった「本質」が置き去りにされてはならないと強く感じております。そこで本大会では、職種、専門性、地域などの違いを超え、様々な視点から「こころのケアの本質」について深く掘り下げて考える機会としたいと考えております。
今回の総会の開催にあたっては開催方法について随分と思案いたしました。サイコオンコロジーにとっても新型コロナウイルスは様々な面で大きな影響を与え、これまで想像すらしてこなかった患者さんへの心理社会的な側面にについて検討をする必要が出てまいりました。幸い第33回総会を大会長の内富先生が成功裏に導かれ、その際もオンラインでの開催でしたので、そのノウハウを引き継がせていただき、アクセシビリティに優れ、また誰でも気軽に参加できる「オンラインの強み」を最大限に活かした学会総会にできればと思っております。
最後になりましたが、やはりサイコオンコロジーは患者さんとご家族とともにあることが大切ですので、科学技術やイノベーションに溺れることなく、多職種によってケアをするこころの大切さを肝に銘じ 、サイエンスとアート双方の推進に資する学会総会になればと思っております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。